セティ

プロフィール


 バルカムット帝国最後の女王。そしてバルカムット原理主義の創始者ではないが象徴となった人物でもある。

 モーゼの反乱を抑えきれず、アンデッドらの裏切り、そして諸外国からの侵攻とバルカムットの負の遺産を全て受け継いでしまっている。ギークへと嫁ぐことで戦争を終結させたほか、アンデッドを失ってからは損害を極力減らすよう指示を出したり、オークであったアグリストIIを最後のバルカムット人と認めるなど、バルカムット原理主義とは違い人道的な面を多数見て取れる。

 モーゼとの交渉が決裂した理由は、モーゼの要求を飲めば他のものの要求も飲まねばならず、国力の低下を招くのが目に見えていたためである。セティの時代ですでにほころびは大きく目立っていた。実際、広大な領地に対してまともに機能していた範囲は非常に狭く、ハッティを手に入れてからは海の民の抵抗により領地拡大も行き詰まりを見せていた。そのため、いくつかの土地や砦を放棄し、国土の縮小を進めていたところでもある。縮小を進めているところに奴隷解放を認めると弱体化を宣言するようなものであり、とても受け入れられる内容ではなかったといえる。

 ギークに嫁いでからもその振る舞いは高貴そのものであり、バルカムットの再興よりも、ギークの人々を愛し、惜しまれながら亡くなった。というのが表向きの話。

 実際のところ、ギークの王が彼女を要求したのは、その性技のうわさを聞きつけたためであり、そんな女を独り占めにしたいという極めて低俗な独占欲からである。結果として骨抜きにされてしまい、表面上はまともな執政を行うが、裏では従順な犬として生きる、バルカムット原理主義の調教の原型がここに出来上がる。彼女が淑女を振舞ったのは、バルカムット再興を心の底で強く願い、そのための種まきを地道に進めたためである。

 セティの死後、バルカムット原理主義は王族など表舞台に良く出る立場は危険であるとし、舞台裏を操れる程度の地位を残し地下へと潜り、裏組織としてその勢力をバルカムット地方全体へと広げていった。

受け継いだ負の遺産

 減らない物量によりいくらでも版図を広げられる性質を持つバルカムット帝国であったが、その生まれつきの戦略が強力過ぎたために様々な弊害をもたらしていた。特に内政の面においては他民族を人と思わず、さらに死体の方が価値があるという価値観から奴隷をさらっては使い捨てる習慣が根付いていた。

 当然、各地方からさらわれてきた奴隷らは反発を起こし、さらには契約を結んだ傭兵ですらも耐えかねてその反乱に手を貸すなど国土全体としてみれば常に内乱を抱えており、商業的な輸送などには大いに問題を抱えていた。

 他国の言葉を喋り、文字を理解できる人間すらも処理してしまう傾向から折角流入した他文化の研究も進まず、技術面などでは後れを見せつつあった。特に冶金技術において戦争状態であったハッティの鉄とバルカムットの青銅では話にならず、物量をもってしても食い止められる事態に遭遇しており、根付いている戦略の見直しが迫られていた。

 彼女の父親は伝統的な戦略をそのまま受け継ぎ、そして文化的な研究を求める声を無視しヤミを対ハッティの将軍として送り込み成果を出せずにいた。維持費が安いとはいえ、軍隊を動かすにはそれなりの費用がかかり、略奪の成果が上がらない戦争を大失敗であると批判する声が上がり始めた。

 先王を批判する勢力は他国の文化を求める勢力と手を結び、退陣を迫ろうとしていた。身の危険を感じた先王は、暴力的ではない文化的な側面を前面に出そうと画策し、まだ幼い10歳の少女であるセティを女王とした。本人は娘を盾にして裏から支配を行うつもりだった。

 セティ自身は異文化にも興味を示していたために文化を求める勢力との結びつきもあった。よって、これらの勢力の鎮火にも有用であろうとする目論見もあった。しかしセティが異文化に興味を示していたのはモーゼエルフの子である事実を既に知っていたからである。聡明な彼女は妹に危害が及ばないよう沈黙を保っていたが、万が一モーゼの出自がバレれば妹が使い捨ての奴隷にされるのではないかとする危惧から、なるべく異文化を取り入れるような方向で為政を進めようとした。当然であるが先王と衝突することになる。

 女王よりも隠居した人間の方が偉いのかという疑問を抱きつつ、同時にこういう人が一杯いて、妹を守るためにはそれら勢力を黙らせる強さとインパクトが必要だと考えた彼女は先王の弱みを探り、自身が彼を殺す大義名分をいかにして手に入れるかを水面下で調べはじめる。そして行き着いた答えは、自身を批判の盾にする負け犬であると言う事と、そのような負け犬に傀儡にされるような弱い女王ではない事を示す事であった。

 結論にたどり着いた彼女はすぐに軍の掌握を始め、最前線に立っていたヤミがまず彼女に心服した。先王は強いバルカムットを作る事に前向きになったと喜んだ。娘の野心を見抜けなかったのである。

 軍の掌握が済んだ彼女は先王の粛清を決行する。なるべく他の者が心服するように考えた結果、まず口論で始末し、次に実力で始末する事にした。方針を決める会議の場でわざと異文化を大いに取り入れる方向性を示し、先王に反論をさせた。そしてその反論の動機を言い当て、弱い貴様に為政のナタを振るわせる訳には行かないと衆目の中否定する。

 激昂した先王は女王を裏切り者とののしり、衛兵らを動かそうとするがすでに掌握済みであったため彼らは動こうとしなかった。そこで先祖代々伝わる死体を動かし、セティを殺害しようとした。これに対してセティはそのアンデッド操作を奪い取り、逆に先王を殴り倒すことに成功した。先王の体から豪華な衣服ははぎ取られ裸のまま縛り上げられる。

 セティは兵士から剣を受け取り捕縛された先王に向けた。そして股間に生えていた陰茎を根元から切り落とし、落ちたモノを踏み潰した。先王はその痛みに耐えかねて気絶し、縛り上げられたままツィーツィの洞窟へ放り込まれた。その後の定期討伐において知性の無いアンデッドと化した先王を始末したと報告が上げられる。

 この事件によりわずか10歳の少女と侮っていたものは激減する。実の父親の陰茎を切り落とす残酷さとその剣技、軍の掌握を済ませる手腕と手順から垣間見える政治力の強さ、口論において大人を言い負かす聡明さ、先王と言う知性あるアンデッドからアンデッド操作を奪い取る力の強さ、そして何よりも10歳の少女がわずか数か月でこれらを成し遂げたと言う点は大きな衝撃を全土に与えた。

 あるものは称賛し、ある物は強力な政敵として認識し、彼女はこの儀式を以て「大人」として、そして「女王」として扱われるようになった。

モーゼの派遣

 姉に比べると妹のモーゼアンデッドの操作が得意では無かった。そのため、アンデッド操作の師としてヤミが選定された。これはモーゼセティ自身にとっての弱点でもあるという点、さらに元々セティが先王を殺害したのはモーゼを守りたかったからという動機、以上の2点から政敵が手を出しにくい遠方へと派遣されることとなった。

 セティ自身はモーゼの安全が確保できる状況となればハッティ攻略をほどほどに切り上げて、適度な略奪できる範囲の防衛を築くつもりであったが、モーゼは予想外の戦果を持ち帰ってきた。先王が10数年、セティの代になってからも5年。約20年近く続けられた戦争をわずか1年で攻略して凱旋したのである。

 姉が妹の安全を作るための準備は全く間に合わなかったが、この快挙はセティの戦略、モーゼの戦功として大いに称えられ、妹は無意識のうちに自身の安全を確保することに成功していた。

 以後は未知の敵との戦闘になる点、残党の討伐には船が必要で、かつアンデッドが水中では異常に弱く死体の活用が難しいと言う点から旧ハッティ領はヤミに預けられ、生きた人材の育成、そしてモーゼの最大の戦利品である戦術という概念の研究に力が入れられるようになった。

合同演習の開始

 モーゼの戦果を受けて戦術の重要さが見直されるようになり、定期的に全土から精鋭をあつめた合同演習を開催し実際の効果が研究されることとなった。実際にその戦術を目の当たりにし痛快さを覚えたヤミも合同演習には前向きであり、自身のアンデッド軍団強化のため参加を申し出た。

 演習においては生きた人間同士による木製の武器での模擬戦と、ヤミの率いるアンデッドとの戦闘が行われた。

 この演習を実施して以降、参加者らの持ち帰った戦術は概ねよい評価をあげた。元々損害を気にしない性質の軍ではあったが鎮圧が目に見えて早くなった点は高く評価されることとなった。特にアンデッドを使えず損害を出してはならないツィドユウ討伐隊においては大いに歓迎され、これまでよりも高い成果を出せるようになった。

石の船計画

 領土拡大の意志は低かったセティであったが、ハッティの残党である海の民により海運を阻害されており、内政の為には彼らの討伐は必須であった。

 海の民の活動を許してしまっているのもハッティの残党に追撃をし損ねたのも、アンデッドが水に浮かばないためであった。これまで陸戦しかやってこなかったため海戦にここまで弱いとは認識しておらず、船の機動力の低さ、船が小分けであるために1体の死体で作り出せる混乱が小さいなど、様々な問題点が浮き彫りとなった。

 ヤミ領と本土との輸送において海運の重要性も増していたために海軍の増強が検討され様々な案が出された。

 中でも火矢による攻撃は積み荷ごと失う事になったため火に強い船の建造が求められ、セティの発案である石を船にできないかの実験が開始された。浮く石も有る事などから小型模型によるあらゆる実験が行われ、結論として形状さえ工夫すればいかなるものも水に浮かせることが可能であるとされた。

 ハッティから奪った製鉄の技術による鉄の模型、青銅での模型、石の模型、木の模型、いずれの場合も形状を整え浮かせることに成功した。ただし、鉄、青銅は素材が足りないため、巨石文化を活用した石の利用が提案される。

 いかにバルカムットが巨石文化を保有しているとはいえ船一隻をくりぬいて形状を整えるには無理が有った。強度の問題も有り、5割以上完成した時点でヒビが入るなど量産はおろか一隻完成させるのが困難であり実物大の作成には困難が待ち構えていた。これを克服するためパーツ単位での作成、組み立てが提案されたが隙間が出来上がるため浸水を許すことになり、形状を工夫しても無意味であるという結論に達しこれもまた頓挫してしまった。

 頓挫してしまった計画ではあったが、見直しと再検討によって隙間さえ埋めれれば小型、中型の船が作れるのではないかと考えられ、隙間を埋めるのに最適な物の検討が行われた。様々な候補のなかで最もよい結果を出したのは粘土ではあったが、バルカムットでは粘土があまり多く取れなかったため、コスト面で量産が出来ないと言う事で却下された。

 この穴埋めのために提案されたものが死体の肉片の活用であった。幸いにと言うべきか、当時のバルカムットでは昔から使い捨ての奴隷と破損した死体、そして反乱を討伐した際の死体と死体には事欠かない有様であった。そこでこれら死体のうち労働に適さない破損の仕方をしたものをかき集め、その死体の山に接続面を「浸す」ことにより隙間を埋める手法がとられた。

 肉片そのものは水で洗い流されるが、アンデッド操作により生き返った物は活性化され隙間を埋めるために力をこめ膨張し、水をはじき出すことに成功した。操船時にそこそこアンデッドが使える人材を必要としたが、コスト面やリサイクル面などで他の案よりは実用性があると言う事で実験が前に進められた。

 なお剥きだしの肉片が見た目に気持ち悪く、潮風による死体への悪影響を考慮した結果、通常の船と同じように外装、内装には木材が用いられた。

アグリストIIへの期待

 内政において生産力を高めるには、現状の使い捨ての取り組みでは発展の壁が迫っていた。このため、奴隷に少しでも健康的な暮らしをさせ、奴隷の人口も増やせるようにとオークらの出産の施設を作るなど改革に手を付け始めた。当然大きな反発を招き、さらにはしっかりと命令が伝わらなかった経緯もあり家畜の交配のような扱いをさせるなど浸透はなかなか進まなかった。

 異文化交流を推奨する一派や、口の上手い人材を派遣し説得に説得を重ね、ようやっとバルカムット生まれの奴隷という存在が誕生しはじめる。もっとも、生まれて死ぬまで奴隷という状況もまたオークらにとっては希望が見いだせるようなものでも無く、極まれに酔狂な人間が兵士や護衛、情婦として取り上げる事がある程度のものであり、人権らしきものはほぼ存在しなかった。

 少しずつ、地道に進め、制度改革、説得を繰り返して改善されていく奴隷環境。その第三世代にあたる存在がアグリストIIである。

 モーゼが石切り場で虐殺を行った後、実験都市アグンヌにふらっと現れた王家の印章を下げたオーク。並の兵士より腕が立ち、宝物庫にしまわれていたはずのアグリストの槍を用い、バルカムットの問題解決に手を貸す存在。奴隷の立場を上げる必要のあったセティにとって、アグリストIIは喉から手が出るほど欲しい人材であった。

 差別、迫害される対象そのものであるオークが周囲から認められる為には実力を命がけで認めさせるほか無かった。幸い内乱は多く、戦う場所に事欠かなかったためいつでも戦場に放り込める環境ではあったが、その戦場で味方に殺されたのでは本末転倒である。よって、まずは小規模な部隊から信頼を集めるよう努めた。

 幸い彼が最初に立ち寄った街が実験都市アグンヌであったため、異民族に寛容なバルカムット人は抵抗なく彼を支持し、石の船での奮戦、合同演習での活躍を経てその存在は全土に知れ渡る事となった。

 残念ながらモーゼの帰還、そして奴隷を連れてのバルカムット帝国脱出の阻止に失敗したため国内の生産力が一気に落ちる事となり、それ以上アグリストIIの地位向上を計ることは出来なかったが海の民に降伏する際、彼を最後のバルカムット人として認めた。

 一連の行動は残された奴隷を含むバルカムットの民にとって手を取り合うよい前例となり、マムルークサイプラスの運営に大きな影響を与えた。

モーゼの離反

 エルフオークを受け入れバルカムット帝国の国力にしようとする政策の根本は、妹であるモーゼエルフの子だからであった。万が一妹の出自がバレても迫害されない社会を作りたい。それが彼女の願いだった。

年表

10歳 セティ 第1年 ギーク歴 157年 女王に就任。傀儡にしようとした先王を逆に殺害し、名実ともに女王となる。
14歳 セティ 第5年 ギーク歴 161年 アンデッド操作の修行のためモーゼハッティ攻略軍に派遣。ヤミの下で修業を積ませる。
15歳 セティ 第6年 ギーク歴 162年 モーゼハッティを攻略軍。アグリストの槍を持ち帰る。ヤミにハンド靴の権限を与えた上で現状維持を指示。内乱の鎮圧に力を入れる。
22歳 セティ 第13年 ギーク歴 169年 石の船の計画が発動。なお当初は海運への襲撃対策として計画が開始された。
34歳 セティ 第25年 ギーク歴 181年 鎮圧を担当していた傭兵のカリコが差別の先鋭化及び味方に殺されかねない状況に耐えかねたため造反。モーゼにより鎮圧される。解体され各地の石切り場へ。
75歳 セティ 第66年 ギーク歴 222年 モーゼが石切り場にて反乱を起こし離反。行方不明になる。
77歳 セティ 第68年 ギーク歴 224年 モーゼが帰還し奴隷解放を直訴。交渉が決裂した結果、モーゼは大量の奴隷を引き連れてバルカムット帝国を脱出する。ヤミ等数多くの物が離反し、内乱の時代へと突入する。
78歳 セティ 第69年 ギーク歴 225年 海の民の降伏勧告によりバルカムット帝国は滅亡。アグリストIIを最後のバルカムット人として認める。後任をムタヤータメに任せる。
79歳 - ギーク歴 226年 イノを護衛として召喚。性技の伝授、及び若さの秘訣の伝授にて後宮をほぼ掌握する。
82歳 - ギーク歴 229年 国王が逝去。新国王が就任。権力がセティに一気に偏りを見せ、裏からマムルーク等元バルカムット人へ有利になるよう手を回す。
83歳 - ギーク歴 230年 アグリストII及びデニア聖誓士団が結成の挨拶に訪問。デニアが身籠っている事を見抜き出産とその後数年は子供の為に旅を控えるよう通達。
84歳 - ギーク歴 231年 アグリストIII誕生。生誕の儀式において自身の血も分け与え、王族の力を施す。
84歳 - ギーク歴 231年 他界。前国王よりも豪華な葬儀が行われた。

やられグラフィック

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  • 最終更新:2019-10-18 11:42:53

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