シュヴァルツ・カッツェ

概要

主な種族:エルフダークエルフ
所属:傭兵(ウガルト

 ダークエルフの傭兵団。肌の色に合わせた黒い鎧を着用した。

 基本的な構成員はダークエルフが中心であはるが、本人らはティアマットを信仰するエルフの一団と言う認識である。ダークエルフであると言う自覚は当然あるが、モーゼヨシュアらが目指したアナンの地は全員がエルフであり、ダークエルフの国という信念からエルフの一団を掲げた。これはエル・ダナーンが抱える差別への反発でもある。

 各地を放浪するダークエルフの受け入れや、家を失ったエルフ、奴隷市場で売り出される同胞を招いて構成員とし、兵士、あるいは後方支援の隊員として教育を施した。ティスティ近郊の山賊の住処を乗っ取り、そこを拠点としている。ゆえに本拠地としてはウガルトの所属と見られる事もある。アグリストV自身もウガルトの爵位を得ており、公認の山賊という特殊な扱いを受けている。庇護下にはないため忠誠を誓う必要はないが、代わりに税金を納める必要も無い。一方でお互いの友好関係を結ぶために、一定の金銭の支払い、もしくは要請に応じての出動、優先的な傭兵契約などが約束されており、ウガルト専属の傭兵ではないが、ウガルトの精兵に近い扱いとなっている。

 この微妙な力関係にあるのはシュヴァルツ・カッツェが文字通り桁違いの実戦経験を積んでいるためで、同数の人数による集団戦、部隊戦の模擬戦においてはウガルト国内では最強を誇る。

 にもかかわらず彼らがウガルトに受け入れられていないのはダークエルフだからであり、本人らも所属してしまうと放浪している仲間を拾い上げられないためとお互いにダークエルフという出自を理由としている。他国へ出向くことも多々あるため、国の部隊として招き入れてしまうと戦闘結果によっては外交問題に発展しかねないため、大人事情でお互い拒絶する約束が交わされた。

 この大人の事情による建前上の拒絶は逆に良好な関係を築き上げており、戦利品の売却、物資の補充などの商売レベルにおいては強固な信頼関係が結ばれている。

設立の経緯

 初期メンバーの多くはエル・ダナーンの出身で聖誓士団の団員か、もしくはその補佐を行ったティアマット信者である。これは設立者のアグリストVが、エボンフラムの浄化に成功したためでもある。エボンフラムの浄化はエル・ダナーンが抱えるエルフダークエルフの確執と差別を改善するものと本人らは信じていたが、結果としては逆に溝を深めてしまった。

 アグリストVエボンフラムが浄化したかったわけではなく、エルフダークエルフが仲良く共生できる世の中が見たいがためにエボンフラム浄化を使命としただけにこの変化には強いショックを受け、エル・ダナーンに失望を抱きながら故郷を去る決意をした。

 この時、生計を立てるにあたって戦いしか知らない彼は傭兵をやるほか無かったため、同様の衝撃を受けてエル・ダナーンを去る決意をした友人らと共に傭兵団が立ち上げられた。

 当初は拠点も特になく、宛がわれた建物内でその都度過ごした。放浪の一団ではあったが、モーゼもまた理想の地を求めて放浪したのだと自らを奮い立てながら彼らは日々を過ごしていた。

 幸いと言うべきか解散した聖誓士団の関係者からの信頼は厚く、暫くは元支部から依頼を受け、要請に応じて旧ネットワークをなぞるように討伐、護衛、訓練の模擬戦の相手などを務めた。元々精鋭でもあった彼らはほどなく高い名声を得、聖誓士団の関係者以外からの仕事も増え始めた。

 聖誓士団関係者もこの独り立ちには喜びつつ、戦力としては貴重でもある彼らをなるべく手元に置きたいと考えた一部の人間は定住の地を得られるよう交渉し、ウガルトの一部の地を彼らに提供する約束を取り付けた。

ダークエルフ、エルフの買い付け

 団の拠点となる土地を手に入れてからは、資材などを保管する余裕が生まれるのと同時に待機人員用の備蓄も用意しなければならなくなった。防衛も必要であるため、安定した運営のために専門の事務方が必要となってきた。この人員増強のため、副団長であったヴァイエンが拠点を預かり、出先の奴隷市場でのダークエルフの購入、あるいは現地で合流してきた者らの世話を引き受けた。

 ほとんどの者が戦闘の経験も無いため、新兵の訓練として一通りの武器の扱いや手入れが出来るように教育し、不要な物の売却と消耗品の購入、周辺の土地での農業、修復などの雑務をこなしながら戦場への声がかかる日を待つ生活を送っていた。

代替わり

 奴隷の買い上げが始まってしばらくたったある日、アグリストVエルフの娘、インゲを購入して帰ってきてしまった。アグリストVは見た目こそダークエルフだがこれは後天的な変化によるものであり、シュヴァルツ・カッツェでは数少ないエルフでもあった。

 疎外感からなのか迷いからなのか。理由は本人にしか解らないが、とにかく娘を購入してきてしまった。ヴァイエンは夫の行動にも呆れつつ、最年少の仲間の合流を歓迎し、彼女はアグリストVヴァイエンの義理の娘として育てられるようになった。

 後々判明するが、どうやらシュヴァルツ・カッツェが襲撃した村の生き残りであり、恐らくアグリストVは記憶の片隅に彼女の姿があったため奴隷市場で見かけた際に罪悪からつい購入してしまった物と考えられている。

 以後、インゲは復讐心を内に秘めたまま義理の両親の活動を手伝い、独自調査に寄り村を襲撃した人物がアグリストを名乗っていたところまで突き止めた。しかし、この調査はアグリストVの怒りを買い、今後は共に調査するようにとくぎを刺された。娘の身の安全を心配しての事ではあったが、依頼によるものとはいえ襲撃犯が自身である事は事実でもあり、娘の中に敵討ちの気持ちがあると言う事も把握してしまったアグリストVはどうするべきか頭を抱えてしまった。

 不器用な彼が行きついた答えは娘の望みをかなえる事。下手に隠すよりも解決を図った方がいいと考えヴァイエンに打ち明け、娘を鍛えると同時に自分自身の暗殺プランを立てて行った。

 インゲの成長は目覚ましく、特に情報収集に対する独自の人脈の形成は両親の予想を上回る速度でもあった。この速度と、暗殺プラン、とりわけインゲアグリストVを殺せるだけの技量をいかにして身に着けるかの勝負であったが、残念ながら情報収集の速度の方が技術の成長を上回ってしまった。

 誤魔化す限界にきたと考えた二人は半端な状況ではあるが敵討ちを決行に移すことにした。仇にはインゲアグリストVの二人掛かりで攻撃をすること。最初の一撃はアグリストVが行うことを約束して、ヴァイエン扮する仇の後をつけた。

 襲撃地点の森に入ってからは二手に分かれ、インゲは父の合図を、ヴァイエンアグリストVはお互いの鎧を入れ替える早着替えをそれぞれ実行し、敵討ちの準備が整う。第一矢を交代したヴァイエンが放ち、その命中を合図にインゲが切りかかる親子の殺し合いが開始された。

 アグリストVは人ならざる力を得ていた英雄の一人でもあったため、実戦経験の乏しいインゲではそもそも勝ち目は無かった。この勝ち目を少しでも上げるためにヴァイエンは矢に毒を塗り、娘の命と夫の願いをかなえるために全力で援護を行った。

 ヴァイエンの援護、毒、全力で育てた娘の力が合わさった結果、アグリストVはついに力尽き地面に倒れてしまう。インゲは仇の顔を見ようとしてヘルメットを取ってしまい、下から出てきた顔に驚愕する。アグリストVは謝罪と、アグリストの名前を受け継いでほしいと願い、最期に自分自身のとどめをさして敵討ちを終わらせるようにと頼み、インゲはその全てを受け入れたのち泣き崩れた。

 放心状態となったヴァイエンは力なく歩み寄り、自分自身も殺してほしいとインゲに懇願する。しかしこの願いは「1日に二人も親を殺せと言うのか」という悲痛な言葉によって取り下げられた。

 帰還後、ヴァイエンは一部始終を隊員に打ち明け、以後、シュヴァルツ・カッツェヴァイエンが仕切る事となった。

解放運動への参加

 ヴァイエンシュヴァルツ・カッツェの団長となり、アグリストVIを名乗ったインゲも傭兵の一人として戦場に立つ機会を何度か得たが、父を殺した経験がトラウマとなっており、敵兵を前にして攻撃をためらう姿が度々確認された。本人のみならず味方も危険であると判断したヴァイエンアグリストVIを戦場から外した。

 アグリストVIアグリストVIで自分自身のふがいなさも感じており、何かしら現場に立つ方法は無いかと模索を続けていた。警備や制圧等の任務は問題なくこなせる状態ではあったため、様子見の為に護衛、警護の任務を何度かこなし、問題がなさそうだと判断したヴァイエンは彼女をギークの治安維持部隊へと派遣した。女性である点は特に貴族の女性向けのボディーガードとして重宝され、アグリストVIシュヴァルツ・カッツェからの巣立ちに成功した。

 以後、貴人の護衛として活動をつづけたアグリストVIはとある小さな貴族の娘に気に入られ、その家と専属契約を結んだ。

 アグリストVIが護衛についた娘はその後ダーネオン家に嫁ぎ、アグリストVIも娘と共に契約を更新した。ダーネオン家の世継ぎが産まれるなど幸せな日々を過ごしていたが、ダーネオン家は突然土地を没収されてしまう。大規模な領主の改革が行われた結果、周辺の貴族を含め多くの有力者が突然追い出されてしまった。これに反発して領土を取り戻すための戦いを開始する反乱同盟が結成された。

 反乱同盟への参加のため戦力を集めようとするダーネオン家のためアグリストVIシュヴァルツ・カッツェへ救援を求めた。早くからダーネオン家の没落の噂を聞いていたヴァイエンは戦略的な勝ち目が薄く、シュヴァルツ・カッツェの全滅が予測されたためこの参戦を渋った。しかし、同じく土地を追われ、あるいは土地を捨ててきた他の隊員らにとって失地回復を求める姿、定住の地を求める姿は自分たちと重なってしまったらしく、全滅を許容した隊員らの熱意に押されてヴァイエンは取り戻した領土の一部を報酬として雇用契約を締結した。

主力として

 反乱同盟への合流後、シュヴァルツ・カッツェは主力として活躍を見せた。ダークエルフの傭兵であるため表立って主力に数えられることは無かったが、経験の差から作戦立案や兵站線の確保などの戦略的な動き、さらにはティアマット信仰により受け継がれたモーゼの戦術のレクチャーなど、反乱同盟の戦略面での底上げで大いに活躍を見せた。

 また、戦闘面においても歴戦の傭兵であったためにあらゆる重要局面で活躍を見せ、シュヴァルツ・カッツェを抱えるダーネオン家の名声も急激に高くなった。

 しかし、この急激な名声の高まりは反乱同盟の内部において脅威とも映るようになってしまった。

 元々反乱同盟内部において、土地を解放できたものとこれから土地を取り戻すものとの間には温度差があった。モーゼの戦術のレクチャーは解放された土地の一部再編の理由とされたため、シュヴァルツ・カッツェに対して不満を抱かせた。温度差による離反、負担を軽減するための措置ではあったが、既に得た土地を分断させられた側の遺恨となった。

 反乱同盟の目的達成後の勢力図として成り上がり者に多くの領地が帰順しそうという危機感を抱くもの、和平交渉の妨げになりうると考えるものなど様々な思惑が集結し、隙あらば切り捨てようとする派閥が裏で出来上がってしまっていた。これらの派閥の裏切りによりアグリストVIを雇ったダーネオン家は夫婦共に戦死。まだ11歳のイリオス・ダーネオンが跡を継ぎ、シュヴァルツ・カッツェも契約を更新した。

 頭首交代後もシュヴァルツ・カッツェダーネオン家に勝利をもたらし続け、そしてついに悲願であったダーネオン家の領土解放の手番となった。

裏切りと突撃と

 ダーネオン家旧領の解放にあたって、ダークエルフの部隊であるシュヴァルツ・カッツェは先頭に立たず、また、旧領の解放のためには先陣は元の領主が務める事になっていたため援軍として本陣に配置された。これは他の旧領解放においても同様の措置であったためヴァイエンは疑いを持たなかった。

 ダークエルフが各地で呪われた子と扱われる以上は当然でもあると受け入れていたが、先鋒であるダーネオン家の手勢が劣勢になっても一向に援軍が派遣されず、ヴァイエンは慌てて作戦司令本部へと駆け込んだ。総指揮を担っていたオレスト・ガヴラスはこの乱入を想定しており、ここでヴァイエンを謀殺しシュヴァルツ・カッツェを裏切り者として処分、停戦して和平を結ぶ予定であった。しかし、ヴァイエンの戦士としての力量を見誤ってしまい、捕縛しようとした兵士は一瞬で全員の身体が宙を舞い、次の瞬間にはオレスト・ガヴラスと数名しか生存者は存在していなかった。

 オレスト・ガヴラスと他2名、計3名を人質にとり、シュヴァルツ・カッツェダーネオン家の部隊救出のため突撃を開始し、刃を向ける者はすべて敵として敵味方を問わず攻撃を行った。

 突撃してくる味方の傭兵に対してそれとなく裏切りという情報を得ていた反乱同盟の本陣守備隊は混乱し、一部のものは妨害に動いたがあっさりと蹴散らされてしまう。同時に指令本部でほとんどの幹部が惨殺されてしまったために指揮系統は崩壊してしまい、追撃も共闘も行えず各部隊は静観を余儀なくされた。

 シュヴァルツ・カッツェの合流により壊滅状態であったダーネオン家の家臣団は最後の力を振り絞り若き当主イリオス・ダーネオンを守り切った。この戦いでアグリストVIは重傷を負い、これ以上の戦闘は不可能と自ら捨て石を志願した。イリオス・ダーネオンは泣きながら同行を懇願したが、アグリストVIはアグリストの名前を彼に送り、いつでも一緒にいると背中を押した。シュヴァルツ・カッツェは雇い主であるインゲの依頼遂行のため城塞へと突撃を開始する。

 一方城門では、合流の為に奮戦しているという情報を聞き舞い上がった住民らが若様を迎え入れようと先走って蜂起を開始。指揮を執るオージェはやむを得ず住民を殺害する大義名分を得た。同時に突撃を開始したシュヴァルツ・カッツェに対して裏で掌握が完了していた反乱同盟には裏切り者の始末として攻撃を指示し、城外の味方兵と共に人質もろとも撃破する方針が取られた。

 自分たちに人質としての価値が無くなっていると思っていなかったある指揮官は、隙をみて反乱同盟へと合流を試みたが容赦なく射抜かれてしまった。これを確認したヴァイエンオレスト・ガヴラスら残りの人質には価値は無いと判断し、戦死した部隊員の剣を預け、イリオス・ダーネオンを守るよう命令を下した。

 追撃を食い止めるためヴァイエンは単身残り、死体から抜き取った槍を城壁に投げつけて城壁の一部を破壊し、それを合図にシュヴァルツ・カッツェは突撃を開始した。

 人ならざる戦いにより追撃を食い止めたヴァイエンと、指揮経験のあった元人質2名による適切な現場判断も手伝い、半壊はしたものの無事、城内で放棄した一団への合流に成功した彼らは、蜂起した住民らと共に城内へと撤収して行った。

壊滅

 合流した若様と蜂起軍ではあったが、すでに若様に戦意は無かった。いかにして住民の被害を最小限に抑えるか。そのために自身の命が必要になるところまで覚悟のうえで、別の戦いが始まっていたと言い換えてもいいかもしれない。

 怒られるかもしれないけど……と前置きをして若様は自分自身の考えを話し、シュヴァルツ・カッツェオレスト・ガヴラスもその意見に同意した。合流部隊の考えをまとめた上で何とかして武器を収めさせようと蜂起した一団の説得にかかったが、民衆の熱意に押されてしまいこの説得は失敗してしまう。

 見殺しには出来ないと判断したアグリストVIと共に戦闘には参加したが、所詮は烏合の衆。奮戦むなしく、戦死、もしくは捕虜の身となる。運よく脱出できたもの、処刑を免れた者は以後オレスティアンを名乗り、ギーク内部の腐敗を暴くための活動を開始した。

  • 最終更新:2021-04-16 10:50:10

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