サウロ

プロフィール

登場作品:女将軍モーゼ
性別:男
種族:アンデッド
所属:マーシャー(日本人)

 元来は異世界から飛ばされたヒューマンであり、魔法使いではない。ただし、不思議な道具による様々な超常現象をごく自然に行ったため、周囲からは魔法使い、と認知されていた。異世界から飛ばされた直後モーゼに拾われ、ヒューマンであることを隠すため、モーゼの私兵の、知性あるアンデッドとして周囲には紹介されていた。本名は「佐室航(さむろわたる)」と言ったが、佐室が聞き取れずサウロと呼ばれるようになった。

 モーゼバルカムット帝国から奴隷の解放を決行するためには、兵力、そして脱出ルートの確立が不可欠であったが、サウロがもたらした異世界の技術はモーゼに大きなヒントを与え、サウロなしでは海を渡れなかった。

 バルカムットの追撃を逃れ、アナンの地に攻め込む前に、軍事力の強化の為、モーゼ一行はシナイ山を訪れ、シナイ山周辺を支配していたアンアニを倒す事によって、モーゼは半死半生のハーフアンデッドとなり、サウロ自身は知性あるアンデッドへ、そして同行を許されたエルフ達はダークエルフへとその姿を変えた。この時モーゼだけがハーフアンデッドと言う中途半端な存在になったのは、彼女とサウロが力を分け合ったためと、サウロ自身がアンアニの一撃により死亡していたためである。また、彼女自身がバルカムット生まれで、アンデッド使役の法をすでに学んでいたことや、生誕時にバルカムットの伝統の儀式による先祖との軽い融合があり、これにより曲がりなりにも王家の力を受け継いでいたことなどが干渉しあった結果と目されている。

 サウロ自身はアンデッドとなったが、ハーフアンデッドであるモーゼはいずれ死を迎え、さらにその死は大きな混乱をもたらすと言う確信があった。その為アンデッドを使役する法を学び、ダナーンを騙し、護衛の少ない時に、モーゼをハーフアンデッドからアンデッドへ、一度安らかなる死を経て永遠を生きる存在へと変革しようと試みた。しかし、これは失敗し、ティアマットを世界に放ってしまう結果となった。

 自身はその失敗を悔やみ、ダナーンエルフと協力し、一度ティアマットを完全に封印し、死者使役する法ではなく、知性ある死者として蘇えらせる法を求め、各地に散らばったアンデッドらに協力を仰ぎ死者の書を完成させる。なお本人は死者の書を完成させはしたが、蘇えらせる法の会得には至っておらず、更なる死の奥地へと足を踏み入れ、アンデッドでさえも死ぬ法を現在追求中である。

モーゼとの出会い

 彼がいかにして世界を渡ったのかは不明である。一つだけ確実なのは、ツィドユウが空けた穴が、何らかの拍子でサウロの世界とバルカムット地方とを結び、その穴に落ちたという事だ。どこに出口が広がるか不安定なこの穴からは、多くの物が落ちてきては人知れず朽ち果ててゆく事となる。海の上の出口であったり、火山の火口の真上であったりすることもあれば、洞窟のど真ん中、墓場の棺桶の中、あるいは純粋に山や荒野に放り出され生存できず死体となる者は数知れない。人と接触して助けを得られるという事は奇跡に近い確率を引き寄せなければならず、そういう意味でサウロは極めて幸運であったと言ってよい。

 日本産まれ日本育ちであり、ボーイスカウト等の経験も無かったため、彼自身のサバイバル能力は極端に低く、もしモーゼと遭遇しなければ確実にのたれ死んでいただろう。事実、モーゼに発見されるまで日中荒野をさまよい、飛ばされたその日のうちに気絶して倒れていたのだ。モーゼ自身は、ヤミとの交流の中でこういった異世界の穴が空く事象については伝えられており、サウロの奇怪な格好を見た瞬間に異世界の住人であると一目で判断できた。

 保護されるにあたり、通常であれば元居た村、町へと返すのだが、異世界の住人ではそうもいかないため、名目上は私的な奴隷としてサウロは保護される事となった。

 サウロが持っていた防災グッズはモーゼの興味を強くひきつけ、どういった仕組みなのかを聞いたり、共に調べたりするうちに二人は仲が良くなっていった。そして、懐中電灯の光を直視した際、モーゼの脳にひらめきが駆け巡る。バルカムットから大量の人間を引き連れて脱出するにはどうしたらいいか。これの決定的切り札となりうる戦術を思いついたのだ。

 サウロにしてみると、そもそも言葉の解らない地で親身に世話をしてくれたモーゼは、母親以外で唯一と言っていいほど長期間接した女性で、惹かれてしまうのは当然の事だったかもしれない。モーゼも最初こそ技術に興味があったが、庶民の子とは思えない教育水準の高さ(義務教育によるもの)や礼儀正しさ(日本人ならでは)などを気に入り、お互いを生涯の伴侶と誓い合った。

出バルカムット

 男とはいえ戦闘の経験は無く、日本産まれ日本育ちで平凡な生活を送っていたサウロには、兵士として戦うと言う要求そのものが無理な相談であった。本人にはモーゼの役に立ちたいと言う気持ちが有ったが、体力面で前線には送れないと言う判断から、常にモーゼの手元に置かれる事となった。

 特に発言するでもなく、ただモーゼの側に立ち続ける姿は護衛に近く、周囲の人間はそういう魔法使いだと判断していた。

 出バルカムットに際しても、シナイ山周辺に残すには危なっかしく、かといって先行させるには実力不足という事で、モーゼの一団に同行していた。モーゼからの信頼は厚かったが、非力であったためメタトールを掲げず、また、人前に立つ事も殆どなかったため、メタトロンには数えられなかった。

 シナイ山に到着してからはモーゼヨシュアと共にアンアニ討伐のため異界へと足を踏み入れた。先述の通り、この時のサウロ自身は一般的な日本人に過ぎず、さして戦えるわけではない。当然の事であるがアンアニの攻撃により死亡してしまう。モーゼアンアニの心臓を、口移しで食べさせる事により、彼をアンデッドとして復活させた。これにより、サウロ自身はツィドユウに匹敵する力を手に入れる事となる。

 ティスティ攻城戦においてはその力は敵対するヤミを封じる切り札とされ、サンディヨシュアと共に内側に潜り込む精鋭の役割を与えられ、ヤミの使役より先に死体を操り、使役を奪い、ジェリコの物量を強引に抑え込む活躍を見せた。

ティアマット生成

 ティスティ攻略の際、サウロは衝撃的な光景を目にしていた。ヤミが生きた人間に自殺を命じ、新たな兵士としたのだ。アンデッドが死体を使役する、という話は聞いていたためそれほど驚くに値しなかったが、生きた人間を意に反して自由にする力は狂気をはらんでおり、それ故に興味をそそられるものでもあった。

 ヤミは彼が初めて接触したアンデッドでもあり、アンデッドとなって日の浅かった彼に「自分もいずれ狂うのだろうか」という恐怖を感じさせるには十分なインパクトを持つ相手でもあった。ヤミがどういう人物であったか、どうしてそういう狂気を手に入れたのかを知るため、彼はヤミの研究日誌など、遺品を全て回収し、その読破に時間を費やした。

 日誌の量は膨大な量に及び、ただ読むだけでも相当な日数を要した。そしてその日記は、サウロにある事実をようやっと突きつける事となる。普通の人間の一生よりも長い研究期間。つまり、モーゼは先に死ぬどころか、しわくちゃのババァになるという当たり前の事実。共にしわを刻めるならまだ納得も行くだろうが、自身はこのままの姿で生き続ける。この当たり前の事実に気が付いた。

 モーゼが若い姿のまま、共に長い期間生きられないだろうか? はじめはそういう純粋な動機だった。放り込まれた異界で、初めて親身にしてくれた命の恩人を大事にしたい。そういう気持ちが彼を動かし、ヤミの研究の読破と整理が猛烈な勢いで進んでいった。

 問題はヤミ自身が狂っていた事である。言動そのものはまだまともであったが、思考そのものは狂気に満ちており、特に人の命に関しては、まるで家畜を扱うかのように軽く扱われていた。その軽さが、サウロを一つの妄執へと導くこととなった。

モーゼほどの人物であれば、知性あるアンデッドになれる」
「殺して生き返らせれば、ずっと一緒に居られる」

 もちろん、これは本人の妄想でしかない。この妄想の背中を後押しするため、彼はアンアニの声をでっち上げ、それを聞いたと思い込むことにした。サウロ自身、まだ若く、空想と現実の境目がややあいまいであった事が災いした。

 この妄執に取りつかれた彼は、モーゼの暗殺を計画し、それを実行に移す。

 まずモーゼに恨みを持つものを探し、彼らの夢に直接語りかける事で、人知れず人を集める事に成功した。サウロモーゼと共に居る機会が多く、アナンの候補地を事前に知ることが出来たため、そこにジリスの残党を集合させた。その他に、丁度バルカムット帝国が降伏をし解体されたところであったため、バルカムット帝国の残党をティスティの周辺へと導いた。

 モーゼの殺害にあたって、排除しなければならない障害は二つ。一つは親衛隊、特にヨシュア。一つは私兵であるカリコ3姉妹、特にサンディ。どれだけ集団が相手でも、個人戦に持ち込めれば押し返すことが出来るという無茶な教えを実践してきた二人であり、切り札ともいえる戦闘力は、モーゼの策のあらゆる場面で投入され続けてきた。この二人を排除出来れば、モーゼの殺害そのものは容易い。

 ヨシュアには単身でアナンを偵察をさせようと考えている事をあらかじめ知っていたため、ジリスの残党に。私兵3人は、ダナーンを通じて散策を勧めさせることで親衛隊との切り離しを行い、バルカムット残党に襲撃させた。

 カリコの私兵はさすがに良く戦ったが、アンアニの力を受け継ぎ、ヤミの使役法を学んだサウロの軍団の質と量に押される形で3人とも絶命した。

 そしてモーゼサウロの手により殺害される。が、裏切られた怒りが元となり、モーゼの体内に宿ったの力は暴走を開始。現世に暴れるという神話の出来事を呼び込んでしまう結果となった。

孤独な戦い

 突然、人から龍へと姿を変えたモーゼと、その力により復活したカリコの3姉妹に襲われたサウロは、かろうじて3姉妹をチリへと還したが、肝心のモーゼを抑え込むには至らず敗走し、自分自身が恐ろしいものを解き放ってしまった自責の念に襲われる。

 もはやモーゼ一行に戻ることが出来ないサウロであったが、かといってモーゼの放置も出来なかった。

 モーゼの跡をついだダナーンは、呼び起こされたティアマットと呼称しこれの討伐に出ると言う。これを聞いた彼は、陰からの支援を行う事にした。

 モーゼ自身に流れる血がそうさせたのだろう、ティアマット龍牙兵の素材として死体を選んでいた。すなわちアンデッド使役の延長線上にあったため、サウロはこの使役を妨げるため、モーゼよりも早く死体を使役下に置く競争を開始した。

 通常のアンデッドであればティアマットの使役の力には勝てなかったかもしれない。しかし、そこはアンアニの力を受け継いだ者同士。ヤミの使役術を学んでいた事が功を奏し、死体の取り合いは五分五分の成果を見せていた。このためティアマット側の戦力は半減しており、ダナーンらの戦闘が上手くいったのもこの妨害があればこそである。

 もっとも、当然の事であるがダナーンらはこの妨害が有った事実を知らず、サウロの支援は誰からも称賛されなかった。

死者の書の作成

 アグリストの槍によりティアマットは倒されたが、の死体が残らなかったため殺害したと考える者は一人もいなかった。ティアマットは封印された。誰しもがそう考えるようになっていた。特に同じ力を持ったサウロには、モーゼが半端な状態でまだ生きている確信があった。

 今のモーゼは外見こそであるが、知性の無いアンデッドに近く、無念の死を遂げたが故に、執念により自身を操作している状態である。ヤミの記録にはいくつか同様の事例が示されており、サウロは直接知らないが、チェカも同様の業でワーゴ砦を死守していた。バルカムット人は、稀にこういう風に、死後の自分を死にながら使役することが有る。知性あるアンデッドのなりそこないである。

 これを解放するには一度殺害するしかないが、アンデッドで死亡してからもう一度復活すると言う物については前例が無く、また、となったものが完全に死亡した例も無い。は呪いと言う形で存在を続けているため、まずモーゼティアマットから人の姿へと戻さねばならなかった。

 サウロヤミの研究を足掛かりに、なりそこないは死亡する直前に、知性を取り戻す例が多い点に着目した。封印される直前、ティアマットが正気を取り戻したと言う話は聞かなかった。という事は、異界に閉じ込められたと考えるのが正解であり、もし、このを殺せるのであれば、その死の間際、モーゼは正気に戻るのではないかと考えた。

 無論、これは単なる仮説にすぎないし、前例のない話である。だが、サウロはこの仮説に賭けてみる事にした。の力を封じこめ、を殺害する方法をまず求め、その研究の中でアンデッドの復活術が、簡易的なへの修業であることを知る。よって、アンデッドを確実に殺害する方法、そしてそれをもう一度よみがえらせる法を求め、各地のアンデッドの元を訪れては話を聞き、それを一冊の本へとまとめた。死者の書である。

 元は単なるメモであったが、サウロはこれに工夫をこらし、本人のレベルに合わせて読めるようにし、自分自身と同レベルの域に達すると同時に自分自身へとたどり着くようにした。ツィドユウの洞窟に入ってもらうためである。流石のサウロもツィドユウが拠点とした洞窟付近へは近寄ることが出来ず、ここの調査は生きた人間に頼むほか無かった。よって、死者の書に仕掛けを施しつつ、様々な土地に死者の書をばらまいた。

 死者の書にはもう一つ、現代人ならではの工夫が用いられた。研究そのものは更新を続けるものであるがゆえに、最新の死者の書と最古の死者の書では内容が異なる可能性がある。これを防ぐため、親書と子書を作成し、親書は自身の手元に置き、常に書き加えるなどの更新が行われ、子書はそれを同期し読み取り表示するだけのものとした。

 死者の書の仕組みが完成してからは、まだ見ぬ秘法を追い求めて、サウロは世界中をさまよい続けている。

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  • 最終更新:2017-09-14 11:36:40

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