キデナ
プロフィール
ムタヤータメの娘。反乱により発生した疫病によって死亡している。ムタヤータメのアンデッド使役により復活を果たしたが、知性はほぼ無い。自律的に活動ができるため、知性らしき何かが残ってはいると思われるが、言葉を喋るほどの力は無い。
死因
キデナの死体には目立った外傷は無い。死因が不衛生な強制労働から発生した疫病であったからだ。元々中立的な立場であったムタヤータメはアグヌンヌの前身となる小規模な実験都市へと赴任しており、奴隷の労働環境の見直しなどの検討、実験がなされていた。単に自分たちと同じ人間扱いするだけの話であるが、これには非常に大きな抵抗があった。
奴隷側からしてみても、突然優しくされると裏になにかあるのではないかと言う認識から素直に受け入れられず、両者の行き違いから事件は発生した。清潔な環境作りは、自分たちの死体を清潔に保存するために違いないという誤解が産まれたのだ。
何れにせよ自分たちは殺されると勘違いした奴隷らは、ばれないよう一箇所を不衛生な状態にし、そこから疫病をお互いにうつしあった。他の都市も不衛生は不衛生であったが、奴隷との距離があったためこの手の疫病はあまりバルカムット人に感染することは無かったが、実験都市では比較的距離が近かったため街中へと蔓延し、キデナもその犠牲となってしまった。
一方でセティは問題の根の深さを知り実験都市の計画の見直しを余儀なくされた。疫病の発生源については後々の調査で予測が立てられたが、奴隷らからの不信感を拭い去るには半端な人選であってはならないと考えられた。よってセティ自ら希望者に対して面談を行い選別を行い、万が一奴隷に殺されても恨まない自信があるか、任務外でも奴隷と接する気があるか等が問われ、娘を失ってなお奴隷に責任はないと考えるムタヤータメが長に抜擢された。
復活後
復活後、言葉は喋れず細かい意思疎通は出来なかったがふわっとした自発的な行動が出来ており、生前好きだった花摘みなどは復活後も好んで行い、たまに親へとプレゼントとして贈られた。アグンヌへ移動する際、新しく作られる屋敷には中庭が儲けられ、キデナは毎日そこで遊ぶようになった。
特にこれと言って何かしたわけではないが、キデナを世話するムタヤータメの姿はバルカムットにおける下糸の付き合い方としては珍しいものであった。時代が悪ければ娘の死が受け入れられない狂人として映ったかもしれない。しかし、バルカムット的な思想からはみ出た者の集まりであったアグンヌでは精神的な象徴の一つとして受け入れられ、オークも、ヒューマンも、アンデッドも皆同じ人であるという認識の足がかりとなった。
実は皆同じだという認識を得るのに一番抵抗が強かったのはオークである。人間であるという認識はあったが、それは自分自身に対するものであって、ヒューマン、アンデッドが敵ではないとする認識に至るまでかなりの時間を要した。彼らの心を開いたのは、炊き出しなどの食事の改善、清掃、労働環境の改善はもちろんであったが、ムタヤータメが死んだ自身の娘を大切に扱う姿の影響が一番大きかった。死んでも丁重に扱ってもらえるという認識が芽生えた事により、オークの警戒心が溶け、アグンヌは徐々に軌道に乗り始めるようになった。
永眠
キデナのアンデッドとしての人生は非常に短いものであった。半自律であったとは言え、彼女がアンデッドとして生きていられたのはムタヤータメの力のおかげであった。だがしかし、これは不幸なアクシデントにより急速に弱まることとなる。
ジリス討伐より帰還したアグリストIIが、その討伐でさらに槍を強化したためムタヤータメのアンデッド操作に対して影響を与えてしまったのだ。元々アグリストIはイルヤンカを殺害した際、呪いにより龍となっている。龍修行を簡易化したものがアンデッドであり、アンデッド操作は龍牙兵作成の簡易化である。
アグリストI自身は龍牙兵を持っては居なかったが、龍の本能でそれを求めていた。アグリストIIは彼女が選んだ龍牙兵らしきもので、力の強化により他へと影響を与えるようになってしまっていた。ムタヤータメは力が弱かったためこの影響下においてキデナの魂を維持できず、繋がりが急速に薄れていく実感を受けた。
慌ててキデナの元へと駆けつけると、そこには立つのもやっとな娘が笑顔で母親を待っていた。自律的な行動が出来ず言葉を発することのなかったキデナであったが、最後の最後に母に対して感謝の言葉を伝え有るべき死体へと戻っていった。
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- 最終更新:2018-07-14 04:31:08